むいむいのマイホームづくり

自分の家作りから得た知識・情報をお伝えします。

可動棚の側面支持・背面支持の違いと、メリット・デメリットを徹底解説

こんにちは、むいむいです。

突然ですが、可動棚というとどんなタイプを思い浮かべますか?

下の画像のようなタイプでしょうか。

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可動棚は、大まかに分類すると二つのタイプがあります。

側面支持(ダボ型)

背面支持(ブラケット型)

 

これらにはそれぞれメリット・デメリットがあります。 

私はこの2種類の違いがよくわからなかったので、家を建てる時にはしっかり検討を行いました。

そして自宅の7箇所に可動棚をDIYしましたので、この記事では各々のタイプの特徴について掘り下げて解説したいと思います。

なお、賃貸の方は残念ですが直接壁に可動棚を取り付けることはできませんので、ディアウォール等を使用した可動棚をおすすめします。

 

この記事はこんな方におすすめです。

  • 自宅に可動棚をDIYしたい
  • 可動棚の種類を知りたい
  • 側面支持と背面支持の違いがわからない
  • 自分の家に向いているタイプが知りたい

 

 

側面支持と背面支持って何が違う?ダボ・ブラケットって何?

そもそも、側面支持と背面支持とは何でしょうか?

側面支持は、両脇に壁があるときに取付できるタイプです。

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引用:カタログ | 収納なら南海プライウッド

 

片方の壁にレールを2本づつ取り付けて、両側で4本、この4箇所で棚板を支えます。

両側に壁がないところでは側面支持は施工できません。

棚板を支えるためにレールに取り付ける小さなパーツの事を、ダボ棚受けとか、ダボ金具とか、単に棚受け金具とか呼びます。

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背面支持は、棚板の後ろに壁があるときに取付できるタイプです。

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引用:カタログ | 収納なら南海プライウッド

 

後ろの壁にレールを2本取り付けて、金具を用いて2箇所で棚板を支えます。※2本以上も可

この金具の事とブラケットと呼びます。

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引用:SSシステム|株式会社ロイヤル

 

側面支持でも背面支持でも使う、金具をつけるための金属で出来た柱のことを、棚柱とかレールとかサポートとか呼びます。

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重いものが乗せられる可動棚はどっち?

収納として物を乗せるのですから、物がしっかり乗せられるかは気になるところです。

基本的には正しい施工をしていて、さほど重いものを乗せないのであれば、どちらのタイプも実用上は問題ありません。

 

しかし、ちゃんと考えるとちょっと大変です。

重さを支えるためには下地・金具・棚板の三つの要素がしっかりしている必要があります。

金具は大きさや棚板の幅によって大きく変わるので難しいところですが、家庭用として作られているものなら大体20kgぐらいは耐えられるものが多いと思います。

棚板の剛性も大きさと厚さによりますが、2㎝程度の厚さであまり長くなければ20kg程度は問題ないと思います。

20kgが耐えられれば、たいていの物はそれより軽いので問題ありません。

 

厳しいのは、食品・飲み物・本といった重くなりがちなものです。

専門書など特別重くなりがちな本を特に多く収納したい場合、キッチンまわりに使いたい場合などは荷重についても意識したほうが良いと思います。

 

また、棚板の横幅が長くなってしまう場合も注意が必要です。

金具としては2点で支持する背面支持より、4点で支えられる側面支持のほうが重さに強いのですが、金具よりも棚板が問題になる事が多いようです。

広い幅に、適切な厚みのない棚板を使用すると荷重に耐えきれず歪む可能性があります。

棚板の横幅が1メートル以上だと長いかなと感じますが、乗せたいものにもよってはもっと短くてもたわむ可能性がありますし、棚板が薄くても同様です。

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引用:家具職人が教える!自作本棚の図面を描く前の5つの注意点 | 住まいブル

 

背面支持なら、中間にもブラケットを設置することでしっかり棚板を支えられます。

また、一定間隔で分割する事によっても荷重を金具に分散させることができます。

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棚板がゆがむような場合は、金具の問題というより棚板の厚さが足りていない場合が多いと思います。

ホームセンターには1㎝程度の厚みの棚板も売っていますが、この厚みに重いものを乗せたら簡単に歪んでしまいますので、重いものを乗せる可能性があれば2㎝前後の棚板を探しましょう。

棚板の幅が長く、重いものを乗せる場合はもっと厚みが必要です。

難しいのは下地の存在で、次に続きます。

 

 

可動棚に下地補強は必要?ボードアンカーで大丈夫?

現代日本住宅のほとんどは内壁が石膏ボードでできていますが、石膏ボードには直接ビスを打っても効きずに抜けてしまいますので、石膏ボードの裏側に木材が入っている場所にビスを打つ必要があります。

下地とビスの関係については一から話すと長くなるので、基本的な事項は他のサイトで調べて下さい。ゴメン。

 

背面支持の場合、壁に下地補強が必須になります。

金具のカタログを見ると必ず「下地のある場所に施工してください」と書いてあります。

これから家を新築されるのであれば、建築時に合板などの下地をあらかじめ入れてもらうようにお願いすることが出来ますから、あらかじめお願いしておけば問題ありません。

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引用:下地補強工事 | OKUTAの新築Passiv ZERO

 

ただ、建売住宅やマンションなどの場合は建築時に下地を入れてもらうことは通常できません。

木造住宅であれば45㎝~50㎝の間隔に柱か間柱があるので、ここにビスを打てば固定できますが、可動棚の金具を設置したい「丁度いいところ」に柱が来るかどうかは調べてみないとわかりません。

 

そういった場合に使えるのが、ボードアンカー(下地アンカー)というもので、下地が入っていない石膏ボードだけの場所でもビスが効くように下地を強化できるというシロモノです。

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引用:1000円以下で、他の物件と差をつける! ○○を使った簡単&オシャレなリノベ術 |楽待不動産投資新聞

 

しかし、強化できるといっても「ある程度」です。

背面支持金具のカタログにはわざわざ「ボードアンカーで棚柱を固定しないでください」と書いてある場合もあります。(ロイヤルなど)

というのも背面支持は壁面やビスに負担がかかりやすいからです。

 

荷重が加わると棚柱が壁から離れようとする力が働くので、壁に刺さっているビスに負担がかかります。

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ボードアンカーで背面支持の棚柱を固定するのは、自己責任になります。

ブログなどを見るとやっている方もいますし、石膏ボードごと抜けて棚が落ちたという話もあまり聞かないので、軽いものを乗せるのであれば問題ないのかと思いますが、重いものを乗せる可能性がある、棚柱の長さが短い場合などは注意が必要です。

また、ボードアンカーの種類によっても耐荷重が異なるので、やるならせめて性能の良いものを使用するべきかと思います。

 

それに対して側面支持はどうでしょうか。

こちらは、ボードアンカー禁止とは特に言われてません。(私調べ)

理由としては、背面支持は棚柱を通してビスが抜ける方向に力が加わりますが、側面支持は棚柱にはほぼ下向きの力しかかからないため、ビスが抜けやすい、壁が壊れやすい方向に力が加わりにくいからだと思われます。

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この章で説明したかったのは、下地による施工性の違いです。

背面支持がつけたい!と思っても、設置できないことがあるので、注意が必要です。

どんなタイプの可動棚をつけたいか?というのも大事ですが、そもそも下地の条件を満たしていなければ選択肢がありません。

 

 

DIYしやすいのはどっち?

DIYしやすいのは、私はどちらかといえば側面支持だと思います。

側面支持は、4本の棚柱の高さを間違えなければ、失敗することはあんまり無いと思います。

多少棚柱が傾いても大丈夫ですし、棚板のほうに金具を取り付ける必要はありません。

4点支持なので高さの微妙なズレによって棚板がカタつくリスクはあります。

 

それに対して背面支持は、棚柱の高さを揃えつつ傾きにも気にする必要があります。

傾くと棚柱の穴の間隔が変わってしまうため、下で使用している棚板を上に持っていくとハマらなくなる恐れがあります。

棚板に金具をビスを打つ手間もありますから、ちょっと面倒です。

 

とはいえ、ビスを打ったことのある人で、やり方がわかっていれば難しくはありません。

どちらにしてもそんなに恐れる必要はないと思います。

 

 

費用が安いのはどっち?

ケースにもよりますが、側面支持のほうが安い傾向にあります。

 

側面支持だと、棚柱が4本必要ですが、棚受け金具の値段は安い。

背面支持だと、棚柱は2本ですが、ブラケットの値段は高い。

例えば1500mmの高さで5段の可動棚を作るとして、金具の費用だけで考えると・・・

 

側面支持の場合 

棚柱1000円 ×4 金具1set 300円 x5 計5500円

 

背面支持の場合 

棚柱1000円 x2 金具1set 1000円 x5 計7000円

 

概算だと側面支持のほうが1500円安い。

棚柱をどちらも1000円で計算していますが、実際には側面支持の棚柱のほうが安いので実際はもう少し差が出ます。

背面支持の棚柱はブラケットから伝わる応力に耐える必要があるのでしっかりした作りなんですが、側面支持の棚柱は下方向の力しかほとんど加わらないのでペラペラなんですよね・・・。下手すると側面支持2本=背面支持1本位の値段だったりします。

 

 

高さが変えやすいのはどっち?

可動棚と言えど、頻繁に高さを変えることは無いかもしれません。

ですからそれほど気にする項目ではありませんが、高さが変えやすいのは背面支持だと思います。

なぜかというと背面支持の場合、多少であれば物が乗っていても高さを変える事ができます。

 

やり方はこうです。

棚板が落ちないように手で下から支えながら、片方のブラケットを外します。

多少「あそび」があるので、外したほうのブラケットをそのままひとつ上か下の穴に差し込みます。この時は傾いている状態です。

逆側のブラケットも同じことをして、水平にします。

このやり方なら、1段か2段程度なら物が乗っていても高さの変更がすぐできます。

ファミリークローゼットで棚板やハンガーパイプの高さを微調整したいときによくやりました。

※金具によってできない可能性があります

 

側面支持の場合は、同じ事をやろうとしてもたぶん難しいと思います。

棚板の大きさに遊びがあればできるかもしれませんが、微調整が楽なのは背面支持かなと思いました。

物を全部取り出して高さを大きく変える場合でも、側面支持は棚板を外してから棚受け金具を一つ一つ移動させる必要があります。

側面支持は棚に金具がついているので、外したらそのまま棚柱に差し込めばいいだけです。

ここはなかなか言葉だけだと説明しにくいですね。

冒頭でも言ったように頻繁に高さを変えないならどちらでもよいと思いますが・・・

 

 

安全なのはどっち?

安全性で言えば、どちらもさほど変わらないと思います。

ただし、正しい金具を選んで、施工されて、設置されている場合です。

 

背面支持は金具(ブラケット)が片方でも外れたら棚板が傾き、物が落ちる危険性がありますが、通常はブラケットが外れないセーフティロックがあるので、ここをつけていれば問題ありません。

ただし、家庭向けに販売されている金具には基本的にロックがある商品がほとんどですが、店舗向けなどに販売されている金具にはロックが無いものもあります。

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引用:SSシステム|株式会社ロイヤル

 

ロックが無いと、下から力を加えたときに棚板が外れる恐れがあります。

金具選びを間違えると、ロックできないので少し安全性にかけるかもしれません。

ホームセンターには店舗向けの金具も売っていますから、注意が必要です。

 

それに比べると側面支持は、棚柱の位置が正しければ棚板が容易に外れることはないので、棚板が外れる可能性はあまり気にしなくて済みます。※施工状態にもよります

 

 

側面支持の可動棚が向いているのはこんな場所

まず両脇に壁が無いと棚柱を設置できませんから、両側の壁は必須です。

例えばどういう場所かというと、比較的小さな幅の収納内部などです。

そのほかに向いている条件としては、

背面支持を取り付ける下地が無いとき

背面支持をDIYするのに不安があるとき

手軽に取り付けたいとき

費用を抑えたいとき

などが考えられます。

 

また、背面支持だと置く物によっては金具が邪魔になる事があります。

金具のぶんだけ物が置くことが出来ないスペースが発生するので、棚板同士の間隔が少ない状態で箱状の物を置いたり、本などを置いたりすると金具が邪魔になる場合があります。

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物と棚の間隔をある程度開けておけば問題ありませんし、ほとんど気にならない事が多いと思いますが、こういった場合は側面支持であれば金具が収納の邪魔にならないので、向いていると言えます。

 

背面支持でも金具が邪魔にならないタイプの金具もあります。

こちらであれば、画像にあるように箱状のものをピッタリ置くことができます。

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引用:SSシステム|株式会社ロイヤル

 

ただし、こちらはブラケットの根本の部分が棚板の上に若干出てくるので、そちらが今度は邪魔になってしまう可能性もあります。

加えて、このタイプは棚板の両側に金具をつけることが必須になります。

少し難しい話になりますが、小さなクローゼットといった内部収納にこのタイプを付ける場合、セーフティロックを解除させる余地として金具と壁を少しだけ離さないといけないため、棚板を収納の内寸いっぱいの大きさにすることができないといった問題もあります。

 

 

背面支持の可動棚が向いているのはこんな場所

背面支持の可動棚を設置するのに必要なのは、棚柱を支える下地がある場所です。

ボードアンカーなどで支える事も一応できますが、非推奨なのでその場合は置くものを軽いものに留めておいたほうが良いでしょう。

 

それ以外にはどんなケースが向いているかというと、

棚板を設置する横幅が広い場所で、側面支持では棚板がたわむ恐れがある場合

横に複数に分割して取り付けしたいとき

服やタオルなどをかけたいとき。種類にもよりますが、背面支持にはハンガーパイプのような別パーツが用意されています。

 

 

私が採用したのはほとんど背面支持型

以前、賃貸に住んでいた時に使用していたのは側面支持型で、今住んでいる新築につけたのは全部背面支持型です。

側面支持のほうが向いている場所もありましたが、全部統一したほうがパーツもまとめられますし、検討もしやすかったので全部背面支持型にしました。

私はそういう事情があったので全部背面支持型にしましたが、背面支持型のほうが優れているからそっちがいい・・・という訳ではありませんので、状況・条件によって望ましいほう、好きなほうを選んだらいいと思います。

 

最後にその収納の一部を紹介します。

ファミリークローゼットはこちら。

設置当初の写真なのでスカスカです。

棚板もハンガーパイプも600mm幅で統一しています。

ここは可動棚にしていて一番良かった場所で、レイアウトの変更や高さの変更もよくやります。

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こちらは玄関収納です。

もう少し棚を増やせますが、置く物がないので割とスカスカです。

ここは幅が広いので(内寸1700mm)側面支持では厳しいかもしれませんね。

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こちらはリビング収納です。

ここは幅1200mm位なので側面収納にもできましたが、左右に分けたかったので背面収納にしました。

1年半使ってみて、どっちでもよかったかなって感じはあります。笑

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リビング収納のアップです。

箱とブラケットが干渉しそうになっていますね。

このような使い方をする場合には金具との干渉に注意です。

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こちらは洗面所です。

お風呂に入るときに服を置いたり、洗濯物を整理したり、何かと重宝している作業台のような棚ですが、ここも可動棚にしました。

可動棚にすることで、洗濯機の大きさに合わせて棚板の高さを調節したり、大きい洗濯機に変わったときに板をカットして合わせることもできます。

可動棚は上まで続いているので、奥行の短い小物置き用の棚を設置したり、ハンガーをかけるためのハンガーパイプも設置できるようにしました。

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最後に寝室のクローゼットです。

寝室にはここ以外にもWICがあるため、服や大きいものはそちらに入れることにして、こちらは可動棚にしました。

わざわざ可動棚にする必要ある?と悩んだポイントではありましたが、今のところ使わないものをとりあえず突っ込んでおく収納として重宝しています。笑

ここも、幅が広いので側面収納は難しいですね。

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終わりに

設置場所、置く物、収納のイメージ、など色々な条件によってどちらのタイプが良いかは変わってきます。

ただ、面倒なら適当に好きなほうを選んでも良いと思います。笑

収納は住まいにとって大事なものだと思いますが、プロに頼むとお金がかかるので、可能ならDIYできると嬉しいですね。

 

別の機会に、どんなメーカーの金具を使ったらいいか?という話もしてみたいと思います。

 

それでは、ここまでお読み頂きありがとうございました!

もしよければ、下記の記事もどうぞ。

 

 

こちらの記事では、クローゼットにおすすめな収納プランについて検討しています。

muimuim.hatenablog.com